運命の人

羽田空港の待合室で、パソコンをひざの上に乗せ、
あたり一面はばかることなく、大声で携帯電話で話しているいかにもやり手のビジネスマンといった風の
おっさんの姿と遭遇したのが、今度の旅の始まりだった。

香港行きの最終便。
こんな平日でもたくさんの人で待合室は混んでいた。
前回に羽田を利用してその狭さにウンザリしていたので、
新国際線ターミナルが出来るまでは成田にしようと思っていたんだけれど、
結局断然家から近い羽田から出ることになってしまった。


LAL027便
意外と空いていたのが幸いだった。
けれど、ふと気がつけば、あのおっさんが前の席。
うっへぇ～
こりゃ何かがありそう。
さすがに携帯電話の声高はなかったけれど、
今度はめいっぱいリクライニングと来たもんだ。

ほんとにそう、なぜかそう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なぜかこんなふうに出来ている。
こんなにたくさんの人がいるのに、なぜこのおっさんが前の席・・・・・・・・・・・・・・・

なんだかんだのうちに飛行機は順調に飛び続け、定刻よりだいぶ前に香港国際空港に到着した。
おまけに入国審査も早く終わって、まだエアポートエクスプレスが走っている時間に間に合った。

席に座って周りを見渡せば、おいおいいつ乗り込んだのか、
あのおっさんが通路を隔てた横の席に座っている。

うっへぇ～!
いつの間にっ!

そしていつまで一緒なんだ、このおっさんと。

もうこりゃ運命の人と思うっきゃないか、そんなアホなっ!