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ひょうたんからコマ

中年の女性が畑のまわりの生垣の葉をとっていた。
挨拶をしながら近づいて行った。
「あのぅ~お聞きしていいですか?」
女性は一瞬けげんな顔をしたけれど、笑ってくれた。
「ひょうたんの中には何が入っているんですか?」


ほんとに謎だったのだ。
不思議だったのだ。
犬の散歩でこの畑の前を通るたびに畑の中の木の枝に
いくつもの乾燥したようなひょうたんがぶら下がっている光景が・・・


この間、ちょっと手を伸ばしてすぐ近くにあるまだ淡いみどりのひょうたんを
触ってみたらものすごく重かった。
一体何がつまっているんだろう?

通るたびに気になっていたけれど、いつも畑には誰もいなくて
謎は謎のままそのまま残されていたのだ。


「この中は種ですよ。びっしり種が入っているんです」
「あぁ~そうなんですか。いつも通るたびに不思議だったんです。
それに並んでいるひょうたんがすごく可愛くて」
「ひょうたんは縁起物みてたいな気がするのでたくさんぶら下げているんですよ」
「縁起物ですか?」
「そうそうひょうたんからコマ」
アハハハハハハハとその女性が笑った。
「小さいのがあったら差し上げるんですけれど・・・・・・・・・・・・・・」
「いえいえいいんです。ありがとうございました。」


そっかそっかあの中は種がいっぱい詰まっていたんだ・・・・・・・・
謎が解けた嬉しさを思いながら犬たちとポツポツ歩いていたら、
後ろの方で声がした。
振り向いてみたらさっきの女性だ。自転車に乗っている。
「?」
「小さいのがありましたから、良かったら持って行って下さい」

自転車のカゴからかわいいひょうたんをとりあげて渡してくれた。
「ありがとうございます」
嬉しくて思わず声を上げてしまった。
「しばらくお水につけて皮がむけたら乾燥して下さい」
「はい。ありがとうございます」
女性は自転車のむきを変えて走って行った。
わざわざ小さなひょうたんを探して追いかけて来てくれたのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


渡されたひょうたんは小さくて淡い緑色で、けどもうしっかりひょうたんだ。



なんだかすごく嬉しくなった。
西の空は夕やけだ。


なんだかすごく嬉しくなった。

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